リハビリ

腱障害のリハビリテーション⑤腱障害の治療プロトコル

これまで腱の基礎科学からお話ししてきた腱障害のリハビリテーションですが、

今回で最後となります。

今回のテーマは

「腱障害の治療プロトコル」

です。

腱損傷のリハビリテーション①腱の構造と組織構成

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腱障害の治療原則

<正常部の強化>

腱の特性として治癒能が低いため、

ある程度進行した症例では変性部が回復する見込みはほとんどありません。

しかし、正常部の断面積を増やすことで変性部を代償することができます

そのため、腱障害の治療は変性部を回復させるのではなく、

正常部を強化することにフォーカスする必要があります。

<腱にかける負荷は運動速度で規定する>

腱は粘弾性がある組織のため、かかる負荷は運動速度に依存します。

そのため、リハビリテーションでは

運動速度を基準にしたエクササイズを処方していきます。

速度の遅い運動であれば腱の痛みを誘発しにくいことを踏まえて

リハビリテーション初期には速度0の運動である等尺性収縮エクササイズを実施し、

腱の負荷耐用能の向上に伴って

低速高重量エクササイズ→高速エクササイズ→プライオメトリクス

と進めていきます。

<完全安静期間は設けない>

安静にすることで痛みは軽減してきますが、

腱の負荷耐用能もします。

完全安静によって腱の剛性は2週間で低下することも報告されています。

また安静によって筋も機能低下するため、

さらに負荷に耐えることができない状態になってしまいます。

リハビリテーションの初期では

安易に安静期間を設けずに痛みを誘発する過大なストレスを避けつつ、

最大筋力の70%程度の重量を使った等尺性エクササイズが推奨されています。

<活動強度を調整する>

腱にかかる負荷は速度に依存します。

そのためリハビリテーションの初期では

ダッシュやジャンプなど運動速度の大きい動作は中止します。

<圧迫ストレスを排除する>

圧迫ストレスも腱障害の発症に関与するので、

その原因を特定し排除します。

主に伸長位で骨隆起による圧迫ストレスがかかりやすいため、

障害腱が伸長位になる姿勢や動作が日常生活の中にあれば、

発症初期には中止します。

腱障害の治療プロトコル

ステージ1:等尺性収縮エクササイズ期

このステージの目標は

腱の過負荷につながる外的因子を排除するとともに

腱の負荷耐用能を向上させて痛みを減少させること

で、患者教育が重要です。

病態や予後、どのようにして腱の負荷耐用能を向上させるのかなどを

理解してもらう必要があります。

完全安静は必要ありませんが、痛みの出る動作を避けさせますが、

身体機能の低下は最小限に留めなくてはいけませんから、

腱への負荷が少ない運動に関しては痛みのない範囲で許可をします。

エクササイズに先立って徒手療法も行います。

腱の機能回復に引張負荷が必要ですが、

圧迫や摩擦、剪断ストレス、応力遮蔽は回避すべきです。

患部腱周囲の軟部組織の滑走性や骨のアライメントを改善させることで

患部腱の伸張度の偏りがなくなり、

エクササイズ時に正しく引張負荷をかけることが可能になります。

患部以外の部位のアライメントやキネマティクスなどの問題も特定し修正を図ります。

等尺性エクササイズは腱の疼痛緩和効果が示されています。

疼痛緩和効果を得るえるためには

最大筋力の70%相当の重要で45秒間×5セットが推奨されています。

エクササイズ実施の24時間後には

腱の違和感や痛みを感じるかどうかを確認します。

変化がない、もしくは軽減していれば

腱が適応できたとして次回のエクササイズの負荷を増やします。

反対に増加していれば

負荷のかけすぎとして次回のエクササイズを減らすか同量にします。

ステージ2:低速高重量エクササイズ期

このステージの目標は腱の負荷耐用能と能力の向上です。

システマティックレビューでは

腱の強化の鍵となるのは

エクササイズの重量(最大筋力の70%以上)

であることが示されています。

そのため、

腱と筋の療法を強化できる

低速高重量エクササイズが推奨されています。

実施頻度は1日おきで1日あたり6〜8回×4セットを目安にします。

腱へのストレスは運動速度に依存するため、

求心性収縮3秒、遠心性収縮4秒程度の速度にし、

運動範囲も安全性の高い中間域で行います。

エクササイズ終了24時間後の疼痛誘発テストで痛みがなければ

次のステージに進みます。

ステージ3:高速エクササイズ・プライオメトリクス期

このステージの目標は筋腱複合体の弾性機能の改善です。

これまでに実施してきたエクササイズの速度を速くしていきます。

特に伸張位での運動の切り返しを徐々に速く行います。

これを痛みの増加なく行えたら、

プライオメトリクストレーニングを週に2回ほど追加していきます。

負荷の増加はまずは実施回数を上げ、

問題がなければ動作の速さや高さ、距離を増やしていきます。

腱のコラーゲン合成が高強度運動の70〜80時間後に増加しているため、

3日に1回の頻度で実施し、

その間の2日間で等尺性エクササイズや低速高重量エクササイズを行い、

高負荷→低負荷→中等度負荷のサイクルで

リハビリテーションを進めることができオーバー枠になりにくいとされています。

腱障害のリハビリテーション④腱障害の評価

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