リハビリ

腱障害のリハビリテーション④腱障害の評価

腱障害のリハビリテーションシリーズ、

前回は腱障害の回復過程について書かせていただきました。

今回は腱障害の評価についてお話しします。

臨床症状による腱障害の評価 | 運動器リハビリテーション

まず臨床症状により評価として

Victorian Institute of Sport Assessment(VISA)スコア

を用いることができます。

しかし、症状の微細な変化に対する感受性が高くないため

1ヶ月に1回程度の頻度での使用が望ましいとされています。

腱障害を判別する前に類似疾患を疑って

腱障害の評価において重要なことは

「本当に病巣は腱なのか?」

ということです。

腱は亜拍や摩擦に弱いため、

その周辺位はパラテノンや腱鞘などの腱周囲組織、脂肪体、滑液包といった

ショックアブソーバーとなる組織が必ず存在します。

なので腱の痛みのように見えて、実は周辺組織の痛みである可能性も非常に高くなります。

障害部位類似疾患
アキレス腱障害アキレス腱周囲障害、アキレス腱付着部障害、後踵骨滑液包炎、シーバー病、長母趾屈筋腱障害、足関節後方インピンジメント症候群、後果部脂肪体炎
膝蓋腱障害膝蓋大腿関節痛、膝蓋下脂肪体炎、浅膝蓋下滑液包炎、オスグッド・シュラッター病、シンディング・ラーセン・ヨハンセン病、タナ障害
足底腱膜障害踵部脂肪褥症候群、足底繊維腫症、踵骨疲労骨折、神経絞扼性障害
肘外側腱障害関節内病変、肘関節炎、橈骨管症候群、後骨間神経麻痺、神経根障害、肘関節後外側回旋不安定性

腱障害の画像初所見

超音波やMRIにおける腱の画像所見は腱障害の評価や重症度の根拠にはなりません。

それは腱の特性として変性部が回復することは見込めず、

残された正常腱の強化が回復の過程であるため、

異常所見(変性部)があるにも関わらず無症候者が一定数いるからです。

腱障害の臨床検査

①問診

a)現病歴

重要なポイントは

  • 「発症時期はいつか?」
  • 「発症機転は何だったか?」
  • 「休止期間がなかったか?」

の3点です。

腱障害は潜在的に進行するため、正確な発症時期はわからないことがほとんどです。

腱障害の発症には繰り返される過負荷が関与している場合がほとんどです。

反対にそのようば動作に心当たりがなければ

周辺組織の病態や内科疾患による因子を念頭に置く必要があります。

完全安静は腱の負荷耐用能を著しく損います。

従って

「発症前に長期の休止期間がなかったか」

は必ず確認してください。

b)既往歴

健の負荷耐用能に多大な影響を及ぼすため必ず確認します。

またそれに伴う運動休止期間も必ず確認します。

c)主訴

腱障害の代表的な臨床症状は運動負荷に遠なう局所に痛みと機能的障害です。

通常、患者様は痛みの部位を指し示すことができるはずですが、

広範囲の痛みを訴える場合は他の病態を考えた方が良いでしょう。

②疼痛検査

a)圧痛

圧痛検査は腱障害においては特異度が高いとは言えません。

b)運動時痛

運動時疼痛検査では負荷を段階的に増やしながら行います。

c)疼痛限弱テスト

運動時痛の検査後に、その増悪や減弱条件を探ります。

腱障害に対する疼痛増悪・減弱テストは

「関節アライメントの操作」「軟部組織の操作」

の2つに大別されます。

患者様の関節アライメンや軟部組織を操作することで

腱へのストレスを変化させて、疼痛が増悪もしくは減弱するかを評価します。

③機能評価

1)アライメントやキネマテイクス

患部および患部外のアライメントや関節の異常キネマティクスを評価して

患部腱へ加わるストレスに影響を及ぼすと考えられるものを特定します。

障害部位患部患部外
アキレス腱障害踵骨内返し・外返し

下腿外旋・外傾位

距骨内旋・外旋位

立方骨後下位

 

骨盤後傾位

 

膝蓋腱障害膝蓋骨後傾・上方偏位

膝関節外繊位

足底腱膜障害踵骨底屈位(背屈制限)

ショパール関節外転位

前外側腱障害橈骨掌側偏位肩甲骨外転・前傾・下方回旋位
回旋筋腱板障害上腕骨頭上方偏位
障害部位異常キネマティクス
アキレス腱障害足関節背屈時の踵骨内返し、外返し、内旋・外旋
膝蓋腱障害膝関節屈曲時の膝蓋骨下方偏位・前傾不足、下腿外旋
足底腱膜障害荷重時の踵骨過底屈、ショパール関節過外転
前外側腱障害前腕回内時の頭骨頭掌側・内方偏位
回旋筋腱板障害肩関節90°外転外旋時の上腕骨頭後上方偏位

肩関節90°外転内旋時の上腕骨頭前方偏位

上肢挙上時の肩甲骨内転・後傾・上方回旋不足

2)可動域・可動性

患部の腱に隣接した関節の可動域は可動性は一通り評価します。

特に前述のアライメントやキネマティクスに関連するものは特に注意します。

3)筋力・筋機能

患部腱が含まれる筋腱複合体の機能は必ず検査します。

経過が長いほと筋萎縮が起こっている可能性が高く、患側肢全体や健側肢にも影響が及んでいることもあります。

4)滑走不全・拘縮

腱とその周囲組織間での癒着により組織間の滑走不全が起きているケースが非常に多くみられます。

滑走性の評価は難しいのですが、

組織間への指先の挿入のしやすさを判断材料にしたり、

腱の可動性を評価するのであれば腱をつかんで短縮方向に動かしたりすることで評価します。

5)動作

主訴や発症に関連した動作の評価も行います。確認する事項は概ね限定できます。

障害部位異常キネマティクス
アキレス腱障害ランニング立脚中期〜足趾離地相での足関節過背屈

踵骨過内返し・外返し

過内旋・過外旋

下腿外旋

膝蓋腱障害スクワット骨盤・体幹前傾不足

股関節屈曲不足

下腿前傾不足

足底腱膜障害歩行立脚中期〜立脚延期相での踵骨過底屈、ショパール関節過外転

全相での骨盤後傾・円背

前外側腱障害テニス手打ち

バックハンドストローク時の手関節屈曲・尺屈位

サービスでの肩関節内旋不足

橈側グリップ

回旋筋腱板障害投球手投げ

肘下り

過度な肩関節水平外転

腱障害のリハビリテーション③腱の回復過程

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