リハビリ

腱障害のリハビリテーション③腱の回復過程

腱障害のリハビリテーションシリーズ、

前回は腱障害の病態について書かせていただきました。

腱障害のリハビリテーション②腱障害の病態

以前の記事では腱のバイオメカニクスについてお話ししました。 今回は腱障害はどのようにして起こるのか? 腱障害の病態についてお話します。 腱障害がなぜ起こるのかを知ることで避けるべき負荷を知ることができ ...

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今回は腱の回復過程についてお話しします。

腱の回復過程

腱の回復過程は他の組織と同様に

  • 「炎症期」
  • 「修復期」
  • 「再構築期」

の3つの時期がありますが、腱障害ではこれを考える意義は高くないとされています。

なぜなら、

腱障害は力学的なストレスへの腱細胞の反応によるホメオスタシス崩壊であり、

腱断裂と違い出血を伴わないからです。

腱の回復過程にはメカノバイオロジーがポイントとなります。

メカノバイオロジーとは身体が力学的負荷をどのように感知し、

応答するかに関する学問です。

腱のメカノバイオロジー

適度な力学的負荷が加わると腱のホメオスタシスや適応に作用しますが、

力学的負荷がその範囲を

下回ると負荷不足による力学的強度の低下、

上回ると腱障害を起こします。

腱の負荷耐用能は主にトレーニングによって強化される一方、

長期的な負荷不足により脆弱化が起きます。

腱のメカノトランスダクション

①力学的負荷のインプット

例として歩行やランニング中のアキレス腱があります。

歩行やランニング中では下腿三頭筋の収縮によりアキレス腱には引張負荷が加わります。

この時に変化を感知した腱細胞が負荷の種類や大きさ、長さに応じて生化学的信号を送ります。

②細胞間情報伝達

ある細胞から送られた生化学的信号は力学的負荷を受けていない離れた細胞に伝達されます。

③組織の応答

細胞と細胞外基質を接続するインテグリンに力学的負荷が加わると、

2つの経路を通じて細胞核に情報が伝達されます。

1つは細胞骨格を介した伝達、

もう1つは生化学的シグナル伝達物質を介した伝達です。

これによって生化学的シグナルは力学的負荷を受けていない細胞にまで伝達されます。

細胞核が適切に情報を受信すると

伝令リボ核酸(mRNA)が転写やそれに伴うタンパク質合成などの反応が起きます。

そこで変換されたタンパク質が放出されて細胞外基質に組み込まれリモデリングが起きます。

腱のリモデリング

正常腱が力学的負荷を感知してリモデリングを行う時は

コラーゲンの合成と分解が同時に起こっています。

健常者が高強度の運動を行うと

約24時間後にコラーゲン合成量は最大で2〜3倍になり、

運動後約70〜80時間は合成が増加した状態が継続します。

同時に運動後18〜36時間ほどは分解が上回っていますが、その後は合成が上回ります。

ただし、合成自体は微量であるため、

筋のような著名な肥大は起こりにくいとされています。

腱のリモデリングは年齢の影響を大きく受け、

13〜17歳を境にして、以降のターンオーバーはほとんど起きなていないことが推察されています。

しかし、中長期の運動介入によって正常腱の力学的強度は増加することがわかっていて、

その効果量は腱断面積が及ぼす効果よりも大きかったとされています。

つまり、若年層では構造的変化が起こるが、

成人では力学的特性と物質特性の変化を通じたリモデリングが行われている

と考えられます。

障害腱の回復過程の実際

ここまで障害腱の回復過程を紹介しましたが、実際にはいまだに解明されていません。

前述のメカノトランスダクションも実際に起こっているかどうかも定かではありませんし、

起こっていないのではないかとも言われています。

なぜなら、

  • 障害腱ないの変性部の多くが正常化しなかったこと、
  • 運動療法によって腱の痛みが改善しても腱の構造的変化とは関係がないこと

も明らかにされています。

しかし、健常腱と障害腱を比べると

障害腱では繊維配列が整った部分の断面積が大きかったという報告があり、

障害腱は正常部の断面積を増やしていることがわかっています。

腱は回復能が低い組織であり、正常に戻る能力には限界がある一方で正常腱は強化可能です。

よって、障害腱の回復とは変性部の治癒ではなく、正常部の適応と強化によるところが大きいとされています。

【回復の促進因子】

  • 適切な力学的負荷
  • 適切な休養(3〜4日)

【回復の阻害因子】

  • 過度なストレス
  • 安静(活動量低下)
  • 痛み(痛みによる活動量の低下のため)
  • 不十分な休養
  • 糖尿病
  • 破局的思考や不安、抑うつ

まとめ

いかがでしたか?

腱の回復過程は解明されていないことがほとんどですが、

少なくとも病態の本質は炎症や変性ではなく

力学的負荷への腱細胞の反応によるホメオスタシス崩壊です。

力学的負荷が生理的範囲を

上回れば障害が、下回れば脆弱化、適切であれば適応します。

腱障害のリハビリテーションでは最も重要なことは

運動療法によって適切な負荷のインプットをして腱を適応させること

となります。

次回は腱障害の評価についてお話しいたしますので楽しみにお待ちください。

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