リハビリ

腱障害のリハビリテーション②腱障害の病態

以前の記事では腱のバイオメカニクスについてお話ししました。

今回は腱障害はどのようにして起こるのか?

腱障害の病態についてお話します。

腱障害がなぜ起こるのかを知ることで避けるべき負荷を知ることができます。

腱障害の病態モデル

腱障害の従来は炎症やコラーゲン断裂と考えられてきましたが、

力学的ストレスに対する腱細胞の反応によるホメオスタシス崩壊

にあるとされています。

その病態には

  • 反応性変化
  • 修復不全
  • 変性

の3つの段階があります。

腱障害の病態①反応性変化

力学的ストレスの付与に伴って起こる非炎症性反応です。

腱細胞は増殖し、プロテオグリカンなどの非コラーゲン基質を産生します。

これによって腱は肥厚が起こって圧迫ストレスに適応したり、

断面積を増やすことでストレスを減らしたりします。

コラーゲン繊維の構造は保持され、血管や神経に変化は生じません。

一過性の適応に過ぎないため過度なストレスが除かれるか、

十分な時間が空いていれば正常な状態に戻ります。

腱障害の病態②修復不全

反応性変化から1段階悪化した状態です。

回復と同時に細胞外基質の破壊が増えます。

腱細胞は正常と比べて増殖、軟骨脂肪のように円形になります。

プロテオグリカンも増加し、

コラーゲンは分裂、細胞外基質が乱れ始めます。

血管や神経が増加することもありますが、

負荷の調整や運動によって病態は回復する可能性が残っています。

腱障害の病態③変性

腱障害の病態の最終段階です。

変性部は病理組織学的特徴を呈します。

細胞と細胞外基質の変性が進行し、細胞死に至った領域が明白になります。

細胞外基質の大部分は血管や神経、破壊された基質の残骸、

少量のコラーゲンに埋め尽くされ、もはや別物の組織となります。

コラーゲン繊維の配列が乱れているため、

細胞は引張負荷を感知できず、

病態が回復する見込みは少なくなります。

腱障害を起こすストレス

腱障害に関与する主なストレスは3つ。

  • エネルギー貯蔵・放出負荷
  • 圧迫ストレス
  • 応力遮蔽

です。

①エネルギー貯蔵・放出負荷

ランニングやジャンプのような動きでは

伸張-短縮サイクル(strech-shortning cysle : SSC)というものを伴います。

これは筋肉が力を発揮する前に

一度急激に伸ばされることで弾性エネルギーを蓄え、

より強い力を発揮する機能です。

そしてこの時に腱にかかる負荷のことを

エネルギー貯蔵・放出負荷(energey storage and release load)

と呼びます。

この時にコラーゲン繊維には

伸張以外にも繊維束間のズレや滑走も起きており、

過度なエネルギー貯蔵・放出負荷がかかり続けると剪断や圧迫ストレスが加わり、

それによち腱細胞が反応性変化を起こします。

②圧迫ストレス

腱障害には過度な圧迫ストレスも関与します。

腱の主成分は引張負荷に強いⅠ型コラーゲンのため、

圧迫ストレスには弱く、圧迫ストレスが腱障害発生の鍵となります。

また多くの研究で腱障害では

プロテオグリカンやⅡ型コラーゲンの比率が高くなっていることが報告されていて、

腱障害に圧迫ストレスが関与している証拠となっています。

さらに圧迫ストレスの原因として最も多いのが骨隆起です。

腱障害が頻発する部分にはほぼ骨隆起が存在します。

圧迫する骨隆起圧迫肢位
棘上筋腱大結節肩関節内転
上腕二頭筋腱結節間溝肩関節伸展
長内転筋・腹直筋腱恥骨枝股関節外転・伸展
近位ハムストリングス腱

 

坐骨結節股関節屈曲
中殿筋・小殿筋腱大転子股関節内転
大腿四頭筋腱大腿骨滑車膝関節深屈曲
膝蓋腱膝蓋骨下極膝関節中等度〜深屈曲
アキレス腱付着部踵骨後上突起足関節背屈
後脛骨筋腱足関節内果足関節背屈
腓骨筋腱足関節外果足関節背屈

他の原因としては外部の圧迫もあり、

着圧ソックスはアキレス腱に圧迫ストレスを加える可能性があります。

内部圧迫ストレスもあります。

前述のエネルギー貯蔵・放出負荷で起こる繊維束間のズレによって反応性変化が起こり、

水分保持能が高いプロテオグリカンが多く産生されて内部圧迫力が高まります。

③応力遮蔽

応力遮蔽とは腱のある部分が負荷がかかっていない状態のことです。

腱のホメオスタシスによって応力遮蔽は腱の弱化につながります。

屍体実験でも関節運動による腱の歪みは浅層で高く、

深層部では低かったことが示されており、

腱の変性所見は深層部で認められることが多いことから

腱内の不均等な張力分布による応力遮蔽が関与していることが示唆されています。

さらに変性が生じていると負荷はその周囲の正常部が請け負うため、

変性部にはより一層の応力遮蔽が起こり変性が進行します。

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