高齢者のリハビリの中でもトップクラスに多い痛みとして膝の痛みがありますね。
診断では大抵は「変形性膝関節症」という診断が付けられると思います。
しかし、膝の変形を持っている人は国内で約2000万人。
その中で実際に痛みを伴っている人は700万人と言われており、1/3しかいません。
ということは関節の変形が必ずしも痛みを引き起こしているとは限りませんし、
実際に痛みが起きている人の中でも実は関節の痛みではないということもあると考えられます。
そんな時に考えて欲しいのが「鵞足炎」です。
変形性膝関節症に似た痛み鵞足炎とは
鵞足炎とは、膝の「鵞足」と呼ばれる部位が炎症を起こしている状態です。
「鵞足」とは、膝から5cmほど下がったすねの内側にあり、
脛骨に縫工筋、薄筋、半腱様筋の３つがくっついている場所のことです。
外見がガチョウの足に似ているという理由で鵞足という名前がつけられています。
鵞足炎の症状
鵞足炎の主な症状は痛みです。
鵞足（膝から5cmほど下がったすねの内側）を押すと痛んだり、
運動後に痛みが出たり、痛みだけでなく腫れを伴ったり、熱を持ったりすることもあります。
深刻な場合には、安静にしていても鵞足が痛むことがあります。
ズキンと痛むような感じを伴います。
変形性膝関節症の方は、
膝の内側でも鵞足より少し上の部分、関節裂隙（関節の隙間）を中心とした部位に痛みを訴えるので痛む場所は少し違うのですが、
膝の内側に痛みを訴えるという意味で、
変形することが多い膝の内側の変形によるものと勘違いされることが非常に多いと思います。
鵞足炎の原因
鵞足は縫工筋、薄筋、半腱様筋という３つの筋肉がまとまってくっついている場所であるため、動作負荷が集中しやすい構造となっています。
この中でも特に縫工筋が問題を起こしていることが非常に多いと思います。
縫工筋の作用は股関節の屈曲外転外旋と膝関節の屈曲です。
そして、縫工筋に問題を起こす人のほとんどがしゃがみ動作は階段を昇る時などに膝が内側に入る「ニーイン」の状態になります。
そのため縫工筋に伸張ストレスが加わりやすく、炎症を起こしている人が非常に多いですね。
膝関節の炎症じゃなくトリガーポイントでも痛くなる
また炎症を起こしていなくても、縫工筋にストレスが加わり続けることでトリガーポイントと呼ばれる筋肉のコリができた場合がありますが、
縫工筋のトリガーポイントは付着部である鵞足に関連痛領域を持っているため、やはり膝の内側に痛みを引き起こします。
縫工筋のトリガーポイントは付着部である鵞足から3〜５横指ほど近位に好発します。
その部位をしっかり解してあげることで膝の痛みが取れることが非常に多いので、ぜひ試してみてください。
また原因はニーインが多いのでスクワットなどでしっかりと膝をコントロールできるようになると再発も防げるでしょう。
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