リハビリ

褥瘡予防と栄養の関係とは?

褥瘡の予防法の一つに栄養状態の改善があります。

今回は褥瘡の治癒のための栄養についてお話しします。

褥瘡の治癒過程

①出血凝固期

血小板による止血→凝血塊。血小板から血小板由来増殖因子が放出。

②炎症期

好中球やマクロファージなどの炎症細胞浸潤が起こり、壊死組織が貪食され創が清浄化。増殖因子やサイトカイン、プロテアーゼ類が放出。

③増殖期

線維芽細胞やケラチノサイトの遊走や増殖。コラーゲン合成、血管新生により肉芽組織が組織欠損部を充填し、上皮化や創収縮が起こります。

④成熟期

瘢痕組織が形成された後、数か月かけて赤色調から白色調に変化し、軟化。

褥瘡の治療では

②炎症期から③増殖期まで速やかに移行することが重要であり、

そこには栄養が深く関与しています。

炎症期ではタンパク質不足は炎症を遷延化し、

炭水化物の不足は白血球機能を低下させます。

増殖期ではタンパク質と亜鉛の不足は線維芽細胞の機能を低下させます。

銅やビタミンAとビタミンCの不足はコラーゲン合成機能を低下させます。

成熟期ではカルシウムの不足はコラーゲン架橋結合不全、

亜鉛やビタミンAの不足はコラーゲン再構築不全や上皮形成不全を起こします。

褥瘡治療に関わる栄養素

タンパク質

タンパク質に関しては

  1. 創部滲出液からのタンパク質喪失が低タンパク血症と関連している
  2. 十分なカロリーが投与されていても投与タンパ量が40g以下で 、窒素平衡がプラスに改善するまで褥瘡治癒が始まらない
  3. タンパク質補給3 ~ 4日後、窒素出納がプラスに転じると褥瘡治癒が始まり、この際に血清アルブミン、総タンパク、体重の増加を伴う

と報告されています。

また褥瘡があり、経管栄養中の長期療養入院患者を

高タンパク質補給群(エネルギー比16%)と超高タンパク質補給群(エネルギー比25%)で

褥瘡の治癒を比較したところ、

超高タンパク質補給群の方が褥瘡面積の現象が大きく早期に治癒することが示されました。

さらに8週間では高タンパク質補給群では完全治癒が認められなかったのに対して、

超高タンパク質補給群では66%が完全治癒し、

それ以外でも褥瘡現象率は73%であった

と報告されています。

ただし、タンパク質の摂取は肝臓や腎臓への負担も大きく

基礎疾患には十分な注意が必要です。

アルギニン

アルギニンは視床下部-下垂体系に作用して

成長ホルモンやIGF –1などの分泌を刺激しタンパク合成促進作用や

筋細胞へのアミノ酸の取り込みを促進します。

またアルギナーゼの作用により、オルニチンへ変換されます。

オルニチンは、コラーゲンの合成に必要なプロリンへ変換され創傷治癒に働きます。

さらにオルニチンは細胞の成長因子であるポリアミンへ変換され、

組織の形成や分裂に関わります。

グルタミン

グルタミンは、マクロファージ、リンパ球、線維芽細胞といった

創傷治癒にかかわる細胞のエネルギー基質となり、創傷治癒を促進させます。

また、グルタミンの代謝産物であるグルタミン酸はプロリンの前駆体であり、

グルタミンの投与はコラーゲンの合成を高めます。

亜鉛

亜鉛は多くの酵素活性および酵素構造の維持に不可欠な微量元素で、

創傷治癒ではタンパク合成に必須です。

さらに過剰な活性酸素を消去する抗酸化酵素Cu/Zn-SODの構成因子としての役割を担い、

生命維持に必須な生理作用を持っています。

鉄分

ヘモグロビンの合成には鉄が必要です。

血清鉄が不足すると赤血球数が減少して、

皮膚や軟部組織への酸素供給量が減少するため、

皮膚や軟部組織の脆弱化を招きます。

プロコラーゲに含まれるプロリン、リシンは水酸化酵素によりヒトドロキシプロリンとヒドロキシリシンに変換され、

コラーゲンの三重らせん構造を形成する。

この水酸化酵素の作用補助因子として、ビタミンC、鉄に加えて銅が必須である。

また銅はコラーゲンの量を増やすために必要なリシル酸化酵素の補助因子としても重要です。

 カルシウム

カルシウムが不足するとコラーゲン生成や架橋形成が低下し、創傷治癒が遅延します。

ビタミン

①ビタミン A

コラーゲン合成と免疫機能に重要な役割を持っています。

また、上皮組織の正常な分化を調節しています。

②ビタミンC

前述したようにコラーゲン生成に重要です。

鉄の吸収促進やビタミンEの再利用にも関係します。

③ビタミン E

末梢血管を拡張し、血液循環を改善します。

抗酸化作用も持っています。

介護・リハビリで必ず知っておきたい褥瘡の基本知識

褥瘡とは 褥瘡とは身体の一部に持続的な力が加わることで阻血が起き、 皮膚や皮下組織が壊死することを指します。 一般的には「床ずれ」と呼ばれています。 日本での発症率は6〜7%と推測されています。 褥瘡 ...

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