毎日介護を頑張っている方へ。
「起き上がりの介助って力が必要だし、何かコツがないかな。
患者さんを痛みなく起こしてあげたいけど、うまくいかない。
腰痛が怖いから、防ぎながら起き上がりの介助をする方法はないのかな。
全介助が必要な場合、具体的な起こし方を知りたい。」
こういった疑問にお答えします。
起き上がり介助のコツ① とにかく「小さく丸く」!
重さは、遠くにあるものや、体積が大きいほど重く感じます。
たとえば1㎏のダンベルと、1㎏の牛乳パックを比べると、牛乳パックのほうがずっと重く感じますよね。
また、持ち手があるかどうかなど「持ちやすさ」によっても重さの感じ方は変わります。
人間の体は手足がバラバラに動き、とても持ちにくい存在です。
ですが、人の体はある程度「形」を変えられるため、できるだけ「小さく丸める」ことで持ちやすくなります。
具体的な姿勢づくりは以下のとおりです。
頭を持ち上げて顎を引く
首を支えるように腕を回し、反対側の肩甲骨に手をかけて安定させます。
顎を引くと腹筋に刺激が入りやすく、腹筋が働くと背筋は抑制されるという身体の特徴があります。
そのため、顎を引くと起き上がりに必要な腹筋が働きやすくなり、背筋が働きにくくなります。
膝を立てる
膝を立てることで足をコンパクトにまとめられ、身体全体が「小さく丸い」姿勢になります。
さらに、膝裏に手をかけられるため「持つところがない」という問題を解消できます。
結果として、介助しやすくなるのです。
起き上がり介助のコツ② てこの原理をうまく使う
「てこの原理」を使えば、より少ない力で起き上がりをサポートできます。
てこの原理には「支点」「作用点」「力点」の3つの要素があります。
起き上がりでは、お尻(骨盤)を支点と考えるとわかりやすいでしょう。
さらに、先に足をベッドから下ろしてもらうと、足の重さが「力点」に加わるので、介助者の力が軽減されます。
本人の体重が分散されるうえ、「足の重さ」もてこの原理に利用できるからです。
全介助ならばリフトという選択肢も視野に入れてみては
ちょっとしたコツでも、起き上がりの介助量を減らすことはできます。
しかし、完全に負担を0にするのは難しい場合も多いです。
毎日続く介護では、少しの負担が積み重なって大きなストレスや体への負荷になることもあります。
だからこそ、福祉用具を活用して「いかに楽をするか」を考えてみてください。
リフトというと大掛かりで面倒なイメージがあるかもしれません。
しかし近年は小型化が進み、操作も簡単になっています。
ベッドと壁のあいだに数十センチの隙間があれば設置できるタイプもあり、介護保険の適用で1ヶ月1500~2000円ほどでレンタルできます。
「つるべー」などの介護リフト本体だけでなく、「スリング」と呼ばれる体を支える布もさまざまな種類があります。
リハビリスタッフや福祉用具専門員のサポートを受けながら練習すれば、装着から移乗まで3分ほどで行えるようになります。
自分たちに合った用具やスリングを選んで、負担を減らしましょう。
まとめ
起き上がりができるかどうかで、QOL(生活の質)は大きく変わります。
起き上がりができなければ、寝たきりになったり、おむつ装着や機械浴での入浴が必要になることもあります。
ベッド上で生活の大半を過ごすことになると、当事者だけでなく介護する側の負担も大きいですよね。
介護する側も、される側も、いかに「安全かつ楽に」行えるかが一番重要です。
今回の「小さく丸める姿勢」と「てこの原理」、そして「リフトの活用」などをぜひ参考にしてみてください。
少しでも負担を軽減し、安全・快適な介助を目指しましょう。
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