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介護・介助

起き上がりの介助で失敗する理由を理学療法士が教えます。

起き上がりができる・できないの差は何だと思いますか?
ちょっとした違いがあるだけで、起き上がれるかどうかの差が生まれてしまうのです。

起き上がる時の力の方向を考える

起き上がりの介助の際に、よく「上に持ち上げよう」とイメージしがちです。
しかし、実際に体が動いてほしい方向は「上」ではありません。

起き上がりも含めた基本動作は、重心の移動の連続で成り立っています。
支持基底面(支えになる面)が移り変わるなかで、重心がその上にあるかどうかが「転ぶ・転ばない」を左右します。

起き上がる時、頭の位置は垂直に上がるのではなく、横向きから「肘の上→手の上」と移っていきます。
つまり、やや斜め前方向に向かって動いているのです。

もし動く方向や誘導する方向を間違えてしまうと、余計な力が必要になり、

逆に邪魔する力も働いてしまうことになり

起きられない・起き上がりきれない

ということになってしまうのです。

起き上がる時は体を丸める力を使おう

起き上がりに失敗しやすいパターンの一つに「後方に倒れてしまう」ケースがあります。
この場合、体を垂直に持ち上げようとしている人が多いです。

体幹には、ざっくり簡単に分けると「腹筋=体を丸める力」と「背筋=体を反らせる力」があります。
起き上がる動作に有利に働くのは「体を丸める力」で、逆に邪魔するのが「体を反らせる力」です。

体を丸める方向に意識を向けると、頭は自然に手のほうへ引き寄せられ、重心移動がスムーズになります。
一方で背筋が働くと、体が後ろに反って転びやすくなってしまいます。

では、背筋群を働かせないためにはどうすればいいのでしょうか。

後ろに倒れてしまう場合は反対の肩に注目しましょう

後ろに倒れるのを防ぐポイントは大きく2つあります。

①頭を持ち上げて顎を引く。

顎を引くことで腹筋が働きやすくなり、背筋が抑制されます。
その結果、後ろに倒れにくくなるのです。

②反対側の肩を引き寄せる。

もし反対側の肩が後ろに倒れていると、腕から肩の重さが後方にかかり、体全体が後ろへ倒れやすくなります。
特に片麻痺がある方は背筋が働きやすく、肩を前へ押し出す力が弱いため、後ろに引けやすいのが特徴です。

肩が後ろに引けている状態は、すでに「後ろへ転びかけている」とイメージしてください。
そこで、介助者は起き上がる時に反対側の肩を自分のほうへ引き寄せます。
そうすることで、後ろに倒れるリスクが減り、重心を前方向へ誘導しやすくなります。

まとめ

介助を行う時に一番大切なのは「安全」です。
ケガのリスクを最小限にしながら、できるだけ楽に起き上がれる方法を身につけましょう。
今回ご紹介した「重心移動の方向」と「体を丸める力の活用」、そして「反対側の肩の誘導」を意識してみてください。
少しの工夫で、より安全に起き上がりをサポートできるはずです。

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