褥瘡とは
褥瘡とは身体の一部に持続的な力が加わることで阻血が起き、
皮膚や皮下組織が壊死することを指します。
一般的には「床ずれ」と呼ばれています。
日本での発症率は6〜7%と推測されています。
褥瘡を放置していると炎症が進み、
水膨れや膿が溜まった腫瘍を形成することがあります。
さらに褥瘡から体液が漏れ出ることで、
水分やタンパク質などの栄養素が失われ低蛋白血症を起こしてしまうこともあります。
また、傷口から細菌感染症を起こすこともあります。
骨まで達するような深い褥瘡ができてしまうと、
骨に感染して骨髄炎を起こしてしまったり、
菌が血液内に侵入してしまうと、敗血症といって血液を介して全身に菌が回ってしまい、
最悪の場合死亡するケースもあります。
褥瘡のメカニズム
前述のように褥瘡は持続的な力が加わり阻血状態になることが原因になるわけですが、
実際にどのような力が加わると褥瘡ができるのでしょうか?
- 圧迫応力:組織に対する圧迫です。褥瘡を形成する最も大きい原因です。
- 引張応力:圧迫により組織が変形した時に圧迫が加わっている方向に組織が引っ張られます。
- 剪断応力:引っ張られている組織の浅層と深層で組織がズレあいます。
褥瘡ができやすい人
発生機序である「持続的な力」を避けることができない人は褥瘡を引き起こしてしまいます。
例えば、自発的な体位変換ができず寝たきりの人で、
栄養状態が悪く、皮膚が弱くなっている人。
また褥瘡になりやすく特に気をつけなければいけない疾患として
- うっ血性心疾患
- 骨盤骨折
- 脊髄損傷
- 糖尿病
- 脳血管疾患
- 慢性閉塞性肺疾患
があります。
上述の疾患ほどではなくても、考慮すべき疾患として
- 悪性腫瘍
- アルツハイマー病
- 関節リウマチ
- 骨粗鬆症
- 深部静脈血栓症
- パーキンソン病
- 末梢血管疾患
- 尿路感染症
があります。
褥瘡ができやすい部位
褥瘡は骨が突き出した部位は強く圧迫されるためできやすくなります。
- 仰臥位:後頭部、肩甲骨部、仙骨部、踵
- 側臥位:耳、肩、肘、腸骨、膝、くるぶし
- 座位:坐骨、尾骨、背中
褥瘡の兆候
褥瘡ができかけている部位は皮膚が赤くなります。
この時に指で3秒ほど圧迫してみて、
押した時に白くなり、離すと再び赤くなるものは褥瘡ではありません。
押しても赤いままであれば、初期の褥瘡です。
褥瘡の治療
塗り薬
褥瘡に使える塗り薬は様々で創部に感染が起こっているときに使えるもの、
感染が落ち着いた後に創部の治癒を促進するもの、
保湿により創部を保護するものなどがあります。
ドレッシング
傷を覆うための医療用材料のことです。
傷口を覆うことで外部からの刺激や細菌の感染を防ぐことができます。
また傷口の湿潤環境を維持することができるタイプもあり、
早い回復が望めます。
消毒・洗浄
褥瘡治療において創部周辺を清潔に保つことが重要です。
そのため十分な量の生理食塩水もしくは水道水で洗浄することが推奨されています。
回数は傷の状況にもよりますが、1日1回程度で十分とされています。
消毒はポピドンヨードで消毒すると治療経過が良い
という研究報告もいくつかありますが、
大抵の消毒液は人の細胞にも毒性があるため「通常は必要ない」とされています。
手術
手術は大きく分けて2つあります。
①外科的デブリードマン
壊死した細胞がある傷は非常に治りにくく、塗り薬やドレッシングでは取りきれないような壊死組織をメスなどで切り取る手術です。
「深さが皮下組織以上に及ぶ」
「局所の感染巣の局在、壊死組織の量および拡大範囲、創部の血行状態、痛みへの耐性」
に応じて外科的デブリードマンをするかしないか決めます。
②再建術
患者さん自身の皮膚を用いて傷口を閉じています手術です。
患者さん自身の身体の一部を犠牲にしたり、麻酔を必要とするため負担が大きく十分な検討が必要です。
褥瘡の予防
褥瘡の予防の三大要因は
- 圧迫・ズレの排除
- スキンケア
- 栄養状態の改善
です。
褥瘡予防①圧迫・ズレの排除
2時間ごとを基準にした体位変換メニューを作成・実施。
一般的には頭側挙上角度は30度までにして、足側も挙上し背抜き動作や尻抜き動作を欠かさない。寝位やシーツのシワを取ることも重要です。
椅子上では90度姿勢で仙骨座りにならないように注意します。徐圧動作はPush upを15分ごとに15秒間行い、適切な座位クッションなどを選択します。
褥瘡予防②スキンケア
スキンケアは上述の洗浄とドレッシングを行います。
褥瘡予防③栄養状態の改善
嚥下障害のため普通の食事を摂取できない場合は
きざみ食やソフト食、栄養補助食品などを利用してください。
どうしても経口摂取ができない場合は
チューブや胃ろうをから栄養を補給する方法もあるので
かかりつけ医に相談すると良いでしょう。
褥瘡予防と栄養の関係については詳しく別記事で解説していますので併せてお読みください。
【 併せて読みたい 】
褥瘡の仕組みを理解したら、次にリハビリでの褥瘡予防方法や関節拘縮に対応したポジショニング法を知っておくと安心です。
お困りのことがありましたら、是非ともお気軽にご相談ください。