肩関節周囲炎は、リハビリ現場で比較的よくみられる疾患です。
「四十肩」「五十肩」とも呼ばれ、40代や50代で多発し、
肩関節の痛みや可動域制限をもたらす疾患の総称です。
最初に肩関節の痛みから始まり、その後に肩関節の可動域制限が生じてきます。
自然寛解する疾患と考えられており、文献には12ヶ月〜42ヶ月を要するとされています。
肩関節周囲炎の原因
残念ながら、はっきりとした原因は分かっていません
ただし肩関節周囲の筋肉や腱、靱帯、関節包、滑液包などの炎症が起こることで
痛みと動かしにくさ生じると考えられています。
肩関節周囲炎の症状
主な症状は「肩の痛み」と「肩が思うように動かせないこと」です。
- 髪を結ぶ
- 服を着替える
- エプロンのひもを結ぶ
といった
日常の動作がつらくなることが多いです。
肩関節周囲炎には大きく3つの時期があり、時期によって症状やケアの方法が異なります。
①炎症期
明らかなきっかけがなく、急に強い痛みが出現します。
安静時痛や夜間痛(寝ている時の痛み)も出ることが多いです。
※夜間痛の原因と対処法については、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、
お困りの方はぜひ参考にしてください。
②拘縮期
痛みが少し和らぎ、少しずつ関節の動きが悪くなり拘縮へと移行していきます。
まるで凍ってしまったかのような強い可動域制限が起こるため
「凍結肩」
と呼ばれたりもします。
③回復期
運動時の痛みや可動域制限が次第に改善していく時期です。
自然寛解すると言われていますが、積極的なリハビリを行うことで回復が早まります。
肩関節周囲炎の診断
レントゲンやMRIなどの画像診断を行いますが、肩関節周囲炎の特徴的な異常所見がないため、
他の類似疾患を除外した上で「肩関節周囲炎」という診断が下ります。
肩関節周囲炎の治療
基本的には手術ではなく、痛みを抑えながら肩を動かす練習を行う保存療法が中心です。
炎症が強い時期
痛み止めの薬や湿布、必要に応じて注射で痛みや炎症を抑えます。炎症が落ち着いてきたら
肩を無理なく動かすリハビリを行います。
肩関節周囲炎のリハビリテーション
リハビリでは、温めたり電気をかけたりする物理療法と、
肩の動きを少しずつ取り戻す運動療法を組み合わせて進めます。
特に大切なのは、無理をしないことです。
以前は「痛くても積極的に動かすべき」とされていましたが、
今では「痛みのない範囲で動かす」ほうが回復に良いとされています。
また、肩の痛みは肩の関節だけでなく、肩甲骨や鎖骨の動きも関係しています。
そのため、肩だけでなく肩甲骨まわりを動かすストレッチなども
とても大切です。
①運動療法
一般的には疼痛で発生した過剰な筋緊張の抑制であったり、
拘縮した組織の伸張を目的としてストレッチと振り子運動が推奨されています。
また運動療法を実施するにあたって重要なことは疼痛の管理です。
以前は拘縮を最小限にするために
早期から痛みを多少伴ってでも早期から積極的にリハビリを行う風潮でしたが、
現在では痛みの伴わない範囲での運動療法の方が肩関節の回復を早める
という考え方が主流です。
これは肩関節周炎では関節内の癒着は起きないということがわかってきたからです。
※肩関節周囲炎はセルフトレーニングも重要になってきます。
肩関節周囲炎セルフトレーニングに関しては、別記事で詳しく解説していますのでお悩みの方はお読みください。
②徒手療法
徒手療法全般的に何もしない群と比べて
疼痛の改善や肩関節の機能改善に効果があることは報告されていますが、
他の手技や運動とと比べて効果が得られるかは不明とされています。
③温熱療法
温熱療法は単独で行うよりもストレッチとの併用が効果的とされています。
またホットパックのように表層温熱よりも
短波ジオテルミーのような深部温熱の方が効果があると報告されています。
④超音波療法
一部の治療では超音波を使うこともありますが、
肩関節周囲炎の場合は超音波単独では大きな効果はないとされていますので、
他の方法と組み合わせて必要に応じて行います。
リハビリテーションのポイント
肩関節周囲炎では痛みは肩甲上腕関節周辺に起き、
痛みが起きる動作でも肩甲上腕関節の動きで起こるため
回旋筋腱板や三角筋を狙ったアプローチになりますが、
肩甲上腕関節以外にも鎖骨や肩甲骨も上肢の運動には関わってきますので、
肩鎖関節や肩甲骨へのアプローチも忘れずに行ってください。
もしご不安なことや、生活の中で困っていることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。