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ペースメーカー植え込み患者様のリハビリテーションにおけるリスク管理

ペースメーカーを植え込まれた方のリハビリテーションとは

ペースメーカー(正式名称:ペースメーカ)を植え込まれた方のリハビリテーションは、
決して珍しいものではありません。
「電気を使うリハビリはダメなのではないか」とか、
「意外にリスク管理が難しそう」など、いろいろな不安や疑問を持たれる方もいます。

ですが、電気機器を一切使わなければ安全というわけでもありませんし、
逆に過度に慎重になりすぎる必要もないと考えられています。
ただし、その前提として「なぜペースメーカーが植え込まれたのか」や、
「どのような設定で動いているのか」を理解しておくことが重要です。

  • ペースメーカー植え込み後のリスク管理がよくわからない
  • そもそもペースメーカーの設定が意味不明
  • なぜ自分にはペースメーカーを植え込む必要があったのか

もしこうした疑問をお持ちであれば、まずはペースメーカーの大まかな仕組みを知っておきましょう。

※一般的には「ペースメーカー」と呼ばれますが、正式には「ペースメーカ」と表記されます。
 日本不整脈心電学会などの公式プログラムでも「ペースメーカ」となっています。

ペースメーカー植え込みの適応疾患は何?

体の一部が本来の役割を果たせなくなった時に、機械を使って補う方法はよく行われます。
たとえば、呼吸や酸素化ができない場合には人工呼吸器を使いますし、
腎臓の機能が低下した場合は人工透析を利用します。
では、ペースメーカーはどんな役割を担っているのでしょうか。

心臓が全く動かない時に使うのは、補助人工心臓(LVAD)や心移植など別の選択肢になります。
また、心臓の収縮そのものが弱い場合に使うのは「心室再同期療法」という少し別の治療です。

ペースメーカーの場合は「脈が遅い=徐脈」を補うために植え込まれます。
具体的には、「房室ブロック」や「洞不全症候群(徐脈性心房細動を含む)」といった疾患が原因で、
危険なほど脈が遅くなってしまう方に対して適応されることが多いです。

脈を遅くする薬はいろいろありますが、脈を速くする薬や方法は限られています。
失神や心不全などを引き起こす危険がある場合、
ペースメーカを植え込むことで「遅い脈を補う」ことが可能になるのです。

ペースメーカーの設定とリスク管理

リハビリに不安を感じる理由のひとつに、「ペースメーカーの設定が難しそう」という点があると思います。
設定を示す際によく見かけるのが「AAI」「VVI」「DDD」などのアルファベットです。

これは、3文字のアルファベットが
1文字目:刺激する部位
2文字目:感知する部位
3文字目:感知した際にどう働くか
を示しています。

  • A:心房
  • V:心室
  • I:刺激しない
  • D:Dual(両方)

たとえば「VVI」というのは、心室を感知し、心室を刺激、自己脈を感知したら刺激しない、という設定です。
「VVI60」と書いてあれば、60回/分を維持できるように1秒間自己脈がなければペースメーカーが刺激を送るという意味になります。

DDDは「万能戦士」

「DDD」という設定は、心房と心室の両方を感知・刺激できるため「万能戦士」と呼ばれます。

  • AS-VS:心房・心室ともに自己脈があるので、ペースメーカーは刺激しない
  • AS-VP:心房には自己脈があるけれど、心室には伝わらない(または伝わりが遅い)ので心室を刺激
  • AP-VS:心房に自己脈が出ない(または遅い)ため心房を刺激、心室は自己脈があるので何もしない
  • AP-VP:心房・心室ともに自己脈がない(または遅い)ので両方刺激

この4パターンを組み合わせて心拍をコントロールしています。

運動時の心拍数に要注意

ペースメーカーは基本的に安静時の徐脈を補ってくれますが、リハビリなどの運動をするときは注意が必要です。
本来、人間は運動すると心拍数が上がって心拍出量を増やし、体を動かしやすくします。

ところが、ペースメーカーの設定によっては、運動時に心拍数があまり上がらないことがあります。
「DDDR」というように、4文字目に「R(レートレスポンス機能)」が付いていれば、運動に合わせて心拍数を上げてくれる仕組みがあるケースもあります。
加速度センサーや胸郭の動きなどを感知して、安静時60回/分を80〜90回/分に上げることができます。

もしレートレスポンス機能が付いていなかったり、VVIなどの単純な設定で運動時の心拍数が上がらなければ、
運動耐用能(運動の限界点)も下がりやすくなります。

心臓リハビリテーションでは、「安静時の心拍数+20〜30回/分」を目安に安全な運動負荷を設定することが多いです。
レートレスポンス機能が働くかどうかで、運動時の心拍数の変化が大きく異なるため、必ず担当の医療スタッフに確認しておきましょう。

ペースメーカー植え込み後のリスク管理

1.まず機械(ペースメーカ)のことをよく知りましょう。
 どんな設定になっていて、どのように作動するのかを把握するだけでも安心感が違います。

2.機械がきちんと作動しているか確認を。
 ペーシングフェイラー(刺激が出ない)、センシングフェイラー(感知できない)などのエラーがないか、
 安静時にもチェックが必要です。

3.運動時の心拍数の上がり方を確認しましょう。
 レートレスポンス機能があるのか、どこまで心拍数を上げられるのかは重要なポイントです。

4.危険な不整脈にも注意を。
 ペースメーカーは基本的に徐脈を補う機械ですが、別の不整脈が出る可能性もあります。
 胸の苦しさや息切れ、めまいなどがあれば無理をせず休んで、医療スタッフに相談しましょう。

5.心臓の状態によって運動耐用能は変わります。
 ペースメーカーがあるからといって、必ずしも制限ばかりではありませんが、
 設定やご自身の心臓の機能によっては運動量が限られる場合もあります。

まとめ

ペースメーカーは「脈が遅い」ことを補うための機械です。
正しく作動していれば、日常生活やリハビリテーションで過度に心配しすぎる必要はありません。
しかし、運動時に心拍数をどれくらい上げられる設定なのか、エラーが起きていないかなど、
ポイントを理解しておくことが大切です。

医療スタッフ(担当医やリハビリスタッフ)とよく相談して、ペースメーカーの仕組みを正しく把握し、
安全かつ効果的なリハビリを進めていきましょう。
機械を正しく味方につければ、日常生活の質を高める強いサポートになってくれます。

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