褥瘡と栄養の関係
褥瘡(床ずれ)は、持続的な圧迫やズレによって血流が滞り、皮膚や皮下組織が壊死してしまう疾患です。
治療や予防の基本は体位変換や除圧ですが、創傷治癒の過程には栄養が深く関わっていることがわかっています。
特に在宅療養や介護の現場では、十分な食事が取れなかったり、低栄養に陥っている方が少なくありません。
そのため、褥瘡の改善や予防を考えるうえで、栄養状態の評価とサポートは非常に重要な位置を占めています。
褥瘡の治癒過程と栄養の役割
傷は以下のような段階を経て治っていきます。
それぞれの段階で必要とされる栄養素が異なり、どれかが不足すると治癒が遅れてしまいます。
① 出血凝固期
血小板による止血と凝固が行われます。
この時点では主にエネルギー供給が大切になります。
② 炎症期
好中球やマクロファージが壊死組織を除去し、創部を清浄化します。
タンパク質や炭水化物が不足すると炎症が長引き、白血球の働きも低下します。
③ 増殖期
線維芽細胞やケラチノサイトが増殖し、コラーゲン合成や血管新生が進みます。
タンパク質、亜鉛、ビタミンA・C、銅が不足すると肉芽形成が進まず、創が塞がりにくくなります。
④ 成熟期
瘢痕組織が形成され、時間をかけて修復が安定していきます。
カルシウム、亜鉛、ビタミンAが不足するとコラーゲンの質が低下し、再び傷が開いてしまうリスクがあります。
褥瘡治療に関わる栄養素
タンパク質
創部からの滲出液で多く失われるため、最も重要な栄養素です。
研究では、高タンパク食(エネルギー比25%)を摂取した群では治癒率が高かったことが報告されています。
ただし腎臓や肝臓への負担があるため、基礎疾患を考慮した調整が必要です。
アルギニン
成長ホルモンの分泌を刺激し、タンパク質合成やコラーゲン形成を助けます。
特にサプリメントとして補給すると創傷治癒を促進するといわれています。
グルタミン
免疫細胞や線維芽細胞のエネルギー源となり、肉芽形成を支えます。
また、コラーゲン合成の材料にもなります。
亜鉛
200以上の酵素の働きに関わる必須ミネラル。
タンパク合成を助け、抗酸化作用によって炎症を抑える役割もあります。
鉄分
酸素を全身に運ぶヘモグロビンの材料。
不足すると創部の酸素供給が滞り、治癒が遅れます。
銅
コラーゲンの安定した構造形成に不可欠。
鉄やビタミンCと協調して働きます。
カルシウム
コラーゲンの強度を高める働きを持ち、不足すると瘢痕形成が弱くなります。
ビタミン類
ビタミンA:上皮形成を促進し、感染防御にも寄与
ビタミンC:コラーゲン合成と鉄吸収に必須
ビタミンE:血流改善と抗酸化作用
ご自宅で意識したい食事の工夫
褥瘡予防・治療に必要な栄養素はバランスよく摂ることが重要です。
主菜に肉・魚・卵・大豆製品をしっかり取り入れる
副菜で野菜・果物を摂り、ビタミン・ミネラルを補給する
水分摂取を怠らず、体内循環を保つ
嚥下障害がある場合はソフト食や栄養補助食品を活用する
食事だけで摂取が難しい場合は、栄養補助飲料やサプリメントを医師・管理栄養士に相談して取り入れるとよいでしょう。
訪問リハビリと栄養改善の相乗効果
栄養を摂っても、体を動かさなければ血流が悪くなり、栄養素が創部に届きにくくなります。
ここで重要なのが訪問リハビリです。
筋力トレーニングで血流を改善
体位変換や座位保持練習で圧迫を減らす
嚥下機能の訓練で経口摂取を支援
栄養とリハビリを組み合わせることで、褥瘡の治癒は格段に進みやすくなります。
まとめ
褥瘡の治療や予防には、除圧やスキンケアと同じくらい栄養管理が重要です。
タンパク質・亜鉛・ビタミン類を中心にバランスよく摂取し、訪問リハビリで血流改善と姿勢管理を行うことで、褥瘡の悪化を防ぎ、治癒を早めることが可能です。
エポック自費訪問リハビリサービスでは、理学療法士・作業療法士がご自宅で褥瘡予防のための運動や体位変換の指導を行い、管理栄養士とも連携してサポートします。
もしご自宅で「褥瘡が心配」「栄養やリハビリをどう進めればいいかわからない」と感じている場合は、ぜひ一度ご相談ください。