リハビリ

腱損傷のリハビリテーション⑥腱のバイオメカニクス

今回の記事では腱のバイオメカニクスについてお話しします。

筋はどのような性質を持って身体にかかる負荷に反応しているのでしょうか?

腱のバイオメカニクス

力学的特性

腱は非線形弾性と粘弾性の2つの力学的特性があります。

  • 非線形弾性

腱は以前のブログで書いたように安静時には弛緩し縮れたクリンプ構造をしています。

そのため負荷のかけ始めは縮まった繊維がまっすぐになるだけなので

腱長の変化に力はほとんど必要ありませんし、

コラーゲン原繊維の変形はほぼ起こりません。

負荷を除けば元の状態に戻ります。

繊維がまっすぐになった状態からさらに負荷をかけていくと

コラーゲン繊維束間の滑走とコラーゲン繊維の伸張が起こります。

腱の挙動はゴム様で負荷を除くと元の長さに戻ります。

さらに負荷をかけていくと微細損傷が起こし始め、

破断強度を超えると断裂に至ります。

  • 粘弾性

腱の挙動は加えられた力学的負荷の速度に依存します。

粘弾性を持つ物質は負荷の速度が遅いほど変形しやすく、速いほど変形しにくくなります。

よって負荷の速度が遅ければ負荷を吸収できますが、力の伝達は非効率になり、

負荷の速度が早ければ剛性を増し、力を伝達しやすくなる。

腱の粘弾性によって3つの現象が起きます。

①クリープ

一定の負荷を加えると時間の経過とともに腱長が徐々に増加する現象です。

②応力緩和

腱に一定の伸張を生じさせると時間の経過とともに腱の伸張に要する力が減少します。

等尺性収縮のエクササイズでは、腱にはクリープと応力緩和が同時に起こっています。

③ヒステリシス

粘弾性物質に負荷を加えた後に除去した場合、

負荷付与時の負荷と負荷除去時の負荷の変化量は熱として

エネルギーが奪われるため同じになりません。

構造特性と物質特性

腱はサイズ依存的な特徴を持っています。

太い腱は大きな負荷に耐え、長い腱は断裂に至るまでの伸張距離が長くなります。

同じ断面積にも関わらず応力-歪み曲線が異なる場合、

コラーゲンの種類や架橋構造、細胞外基質の差などの物質特性が影響しています。

他の組織との関連

enthesis organ concept

腱付着部にかかる力学的ストレスに対抗するために、

腱付着部とその周囲組織が1つの器官として相互に作用しています。

腱は強固に安定した構造である反面、血管と神経に乏しく損傷に対する応答能力が低く、

一方で滑膜組織は血管と神経を豊富に備えているため

損傷応答能力は高いが物理的安定性は低くなっています。

このようなお互いの利点と欠点を補う形で存在しています。

①wrap around構造

腱付着の近くに骨や軟部組織でできた構造的凹凸部。

走行を変化させることでストレスを分散させます。

②脂肪性結合組織(fat pad)

一般的には腱と骨が直接衝突することや摩擦することを避ける

ショックアブソーバーとして機能しています。

enthesis organ内で唯一血管と神経が豊富に存在するため

腱付着部障害の疼痛の発現に大きく関与している可能性があります。

関節包との関連

腱と関節包はしばしば融合しています。

可動域の大きい関節の関節包はある程度の緩みが必要だが、

その緩みのせいで関節に挟み込んでしまう恐れがあるため、

腱が融合することで危険性を減じている。

fascia(筋膜)との関連

腱の多くが骨だけでなく隣接した筋膜に付着し、筋の力学的連結を形成します。

代表例が上腕二頭筋の遠位の腱です。

橈骨粗面に骨性の停止部を持つ一方で上腕二頭筋腱膜を介して

前腕内側の深筋膜に繊維性の連結をします。

上腕二頭筋が収縮して深筋膜を緊張させることで、それに続く回外筋の効率性が増します。

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