リハビリ

肩峰下インピンジメント症候群のリハビリは?

肩峰下インピンジメント症候群は、

若年者では水泳選手でよく見られることから水泳肩と呼ばれることもあり、

肩を酷使するアスリート(野球やソフトボール)でも一般的なケガです。

実際は、いくつかの疾患によって生じうる病態の一つとして捉えたほうが合理的であり、臨床で遭遇することも多いでしょう。

肩峰下インピンジメント症候群の病態

肩峰下インピンジメント症候群とは、

1972年にNeerによって提唱された、

肩峰下滑液包・腱板との間で生じる衝突現象のことです。

現在では、腱板損傷とは別に

上腕骨頭と烏口肩峰靭帯の間に腱板・上腕二頭筋長頭腱・肩峰下滑液包のいずれかが挟み込まれている病態

として理解されています。

(参考:「肩関節の身体運動学と運動療法」)

インピンジメント自体は、

  • 肩峰と棘上筋間で肩峰下包が挟まれるExternal impingement
  • 棘上筋の関節包面が後上方関節唇と衝突すると internal impingement

の2種類の症状があります。

このうち、肩峰下インピンジメント(subacrominal impingement)はexternal impingementに分類されます。

一般的には器質的な損傷がなく、

肩関節屈曲・外転時に肩の引っかかり感を伴った肩関節痛と可動域制限を認めるとされています。

肩峰下インピンジメント症候群の原因は構造的因子と機能的因子にわけられます。

構造的因子(解剖学的破綻):

  • 肩峰下面の骨棘増殖
  • 腱板断裂等
  • 上方関節唇損傷
  • 大結節変形

機能的因子(機能的破綻):

  • 腱板のmuscle imbalance
  • 肩関節後下方組織の拘縮
  • 肩甲帯の機能低下等の機能的破綻
  • force couple機能の破綻

このように肩峰下インピンジメント症候群の原因は多岐に渡りますが、

要因を大別すると肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の機能障害に分けることができます。

肩関節運動のキーポイントforce couple機能

肩関節の挙上運動は、肩甲上腕関節において、

骨頭が関節窩上で支点を形成することで、ほぼ一定した運動軸ができあがります。

肩甲下筋と棘下筋棘上筋と三角筋のforce couple機能が代表的です。

この機能が破綻すると円滑な関節運動が行えなくなり、インピンジメントなどの症状を呈することがあります。

こちらの記事でもお話ししています

理学療法士・作業療法士なら知っている?肩峰下滑液包の解剖

滑液包とは、腱または筋の運動の摩擦を少なくするために、

腱(筋)と骨の間にある滑液を含んだ袋状のものです。

滑液包部に摩擦が加わると、滑液包に炎症が生じ、滑液包炎などの症状を呈します。

肩峰下滑液包は、

狭義の肩峰下滑液包・三角筋下滑液包・烏口下滑液包から構成される、靭帯最大の滑液包です。

その上方は烏口肩峰靭帯及び肩峰下面の前1/2・三角筋に覆われ、

その下方は棘上筋・棘下筋全縁と大結節に接するとされています。

付着部周囲では疎な脂肪組織が存在することで、肩峰下滑液包の大きな可動性が保たれています。

肩峰下滑液包・烏口肩峰靭帯には肩甲上神経・外側胸筋神経の知覚枝が分布し、

肩峰下滑液包や腱板の表層には痛みの受容器である自由神経終末が多く分布しています。

よって、肩峰下滑液包に炎症が生じると、

棘上筋・棘下筋・小胸筋の防御収縮が生じます。

この状態が続くことで不良姿勢を呈し、挙上動作時に肩峰下インピンジメントが生じることになります。

肩峰下インピンジメントの評価

Neerテスト

肩甲骨を下方へ押し付け、上腕骨を肩峰下面に押し付けるように他動的に外転すると、90°からやや

上方で痛みを誘発するテスト。

大結節が肩峰の下面にインピンジすることによる疼痛誘発テストです。

Howkinsテスト

肩関節前挙90°で、検者により他動的に肩関節を内旋させ疼痛の出現をみます。

大結節が烏口肩峰靱帯の下にインピンジすることにより疼痛が誘発されます。

また、肩峰下滑動機構の癒着に起因する場合は、

インピンジメント所見に加えて、肩甲骨内転や下垂位での外旋制限、結帯動作の制限などの所見がみられます。

肩関節治療の基本 | 肩峰下インピンジメントの運動療法

機能的因子が要因であるインピンジメントは、保存療法が適応され、運動療法による改善が見込まれます。

主に治療目的は、

  • 炎症の鎮静化
  • 可動域の改善
  • 筋力トレーニングによる肩関節機構の改善

です。

肩甲上腕関節由来なのか、肩甲胸郭関節由来なのかを判断し、治療プランを立てていきましょう。

スパズムを呈した筋は筋緊張や筋内圧が高くなっており、

局所的な虚血が起きて循環障害や発痛物質や疲労物質が発生します。

筋の伸張位から最終域まで十分に収縮させ、弛緩・伸張を反復することで筋内の循環が改善し、

筋内圧の減少や発痛物質の除去が期待できます。

(参考:http://aichi-npopt.jp/dl/info_paper_back/31_02_05.pdf

そのうえで機能不全を引き起こしている筋を特定し、選択的なトレーニングや動作改善を図っていきます。

また、インピンジメント症候群は、体幹・股関節の機能障害にも影響されるため、

肩関節だけでなく全身の評価をした上で進めていく必要があります。

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